一夜明け、ユウは696.9フラグメントに戻り結婚執行局員に扮して

結婚執行局に忍び込んでいた。

 

結婚執行局とはすでに決まった結婚をスムーズに成就させるための

機関である

 

ユウ

(奈々ちゃんは多分、結婚を嫌がってここに連れて来られるはず。

結婚したら名前がチョコバナナってのは、ちょっとねぇ・・・)

しばらくするとユウの読み通り奈々が連行されてある一室に入れられた。

 

ユウ

(読み通り連れて来られたわね。さて・・・)

と思っていると

 

新郎である千波トモヤがやってきて部屋に入っていった。
本名は千横場智也。芸能人で大人気スターだ。


トモヤ

「奈々ちゃん、結婚を嫌がってるって本当かい?どうして?」

奈々

「え・・・ええっと、それはまぁ」

 

名前がいやとは言えない奈々。

 

トモヤ

「また、お父さんかな?」

奈々

「えっ?」

トモヤ

「あいつがまた僕との結婚を反対したんだろう?君の本当の父親でもないくせに。」

奈々

「あ・・ううん、そうじゃなくてあたしが・・・」

トモヤ

「なんでもいいさ。もう、何を言っても遅いんだから。」

奈々

「それ・・・どういう意味?」

トモヤ

「この大スター千波トモヤが、挙式前に花嫁に逃げられるなんて

 許されるわけがない。だから・・・・・」

 

そういうとトモヤの顔から優しさが消えた。

 

そして挙式が急遽、今日行われることとなった。

 

ユウ

(ちょっと待ってよ。まだ準備がぜんぜん・・・どうする?)

焦るユウ。

 

そして奈々は控室に移動しウェディングドレスを着させられる。

その姿を鏡で見て

奈々

「やっば、超かわいい。」

と自画自賛。すぐに我に返り椅子に腰かける。

奈々

「あたしまた流されてる・・・・・」

 

すると奈々のお義父さんが控室に入ってきた。

さりげなくユウも一緒に入り離れた所に立つ。

 

義父

「奈々ちゃん、どうだい?気分は」

奈々

「あの・・・この結婚のこと、反対してたって・・・」

 

すると義父は自分の口に人差し指をあて

 

義父

「シッ!」

 

どうやらその事は結婚執行局員には知られてはいけないらしい。

義父

「これを渡そうと思って来たんだ。元々、奈々ちゃんが持ってたものだよ」

 

紙の手提げを奈々に差し出す。

 

奈々

「えっ?」

 

義父

「三年前、ごみ捨て場で見つけたんだ。僕があの家に来た翌日に。

 あの時はきっと忘れたかったんだろうけど、今は違うかもって。」

 

奈々はそれを受け取った。

義父は振り返り

「ごめん、奈々ちゃん。君を守れなくて。君の本当のパパが望んだように。」

 

奈々

「え?」

そして義父は部屋から出ていった。

 

その様子を見ていたユウ

(あら、良いお父さんじゃない。)

 

奈々は手提げの中に入っていた箱を取り出すと

「はっ」

見覚えのある箱のようだ。

それを開けると実父が作った鉱石ラジオが入っていた。

その鉱石ラジオをみて奈々は何かを思い出してるようだった

すると奈々は呟いた。

 

「流されず強い意志を持って・・・」

 

ユウ

(!!)

(そう、その想いを爆発させなさい。)

 

ユウは一安心しチャペルに移動した。

そして式は始まり、誓いの言葉

 

「汝、七瀬奈々は、千横場トモヤを夫とし、良き時も、悪しき時も、病める時も

健やかなる時も。寄り添うことを誓いますか?」

という牧師の言葉に

奈々

「私は・・・・・誓いません」

 

その言葉に参列者はどよめく。

 

それと同時に明日架がチャペルに飛び込んできた。

 

明日架

「奈々―!!」

奈々はそれに気づき

「明日架―!」

明日架の所に走り出し抱き合う。

 

それを見たここのフラグメントのあすか達は

みあ

「あれって・・明日架先輩?

あすか

「そう、私の・・・新しい自分よ!」

ゆう

「え?

 

そして明日架は

「逃げよう!奈々!」

奈々

「うん!」

 

逃げようとすると結婚執行局員たちが行く手をふさぐ。

そしてトモヤが歩いて近付いてくる。

 

トモヤ

「困るなぁ、大事な式の途中に」

奈々の腕をつかみ

「言ったはずだよ奈々。僕らはこの結婚式で、みんなを同じ気持ちにしなきゃいけない。

 世界をおんなじにするために。」

 

奈々

「やだ!!あたしもう流されない!自分の人生を生きるの!

 パパが言ったみたいに、強い意志を持って!」

すると奈々の胸元が光を放つ。

 

それを見たユウ

(よし、後はこれをどうやって渡すか・・・

イコライズメディアと一緒に現れたみたいな感じがいいわよね)

そう思いながら、奈々用に用意したアストラルモジュールを手にする。

 

するとアスカが飛び込んできてイコライザーに変身しトモヤに攻撃をくわえ

トモヤは吹っ飛ばされる。

 

そして奈々の手にカセットテープが現れる。

それを見た明日架。

「あれ?それって・・・」

 

ユウは

(えっ!?カ、カセットテープ?ちょ、ちょっと待って・・・

  イコライズメディアの形が違う)

焦るユウ。

 

トモヤは起き上がりアスカに近づく。

アスカ

「うまくかわしたなクラッター」

トモヤ

「いや?充分痛かったぜ。」

トモヤの顔を見ると一部が黄色っぽい色でメッキが剥がれたような感じになっている。

それをみて驚く奈々と明日架

「ああっ!」

トモヤ

「お前を殺したくなるくらいはなぁぁー」

そう言って左手を上にあげると黄色く光り仮面が現れる。

 

奈々と明日架に

アスカ

「気をつけろ」

奈々 明日架

「な、何?」

と戸惑う二人

 

奈々の両親以外の参列者は外に逃げ

優 クロエ みあの三人は中に入ってきた。

トモヤが仮面を顔に装着すると

雪うさぎの形をしたノイジーが放射状に飛び出し

たそがれの空間が形成された。

戦いを始めるアスカとクラッタートモヤ。

 

ユウはどうするか考えるが何も思いつかないでいる。

 

アスカ優位に戦闘は展開していたが

クラッターのキックがアスカにクリーンヒットして

吹っ飛ばされ変身が解けてしまった。

 

ユウ

(ちょっと、何やってんのよ。私がいくしか・・・)

と身構えると奈々の目の前にアスカのアストラルモジュールが落ちる。

それに気が付く奈々の様子がユウの目に入る。

 

ユウ

(なんて偶然。あの子が変身するとこ見てたわよね

奈々ちゃん、変身しちゃいなさい。)

 

そう思っているユウの期待通り奈々はアストラルモジュールを拾い

カセットを入れ

「あかねさす我、いでよ!デュプリケート!」

奈々は七色の光に包まれイコライザーに変身した。

 

ユウ

(よし)グッと手を握りしめる

 

イコライザー化した奈々

「キモイキモイキモーい!」

といいながらクラッタートモヤに攻撃を加えていく。

「そんなんであたしと結婚しようなんてバッカじゃないの!」

「大体その苗字もなんなのよ。千横場って何よ!」

「チョコバナナとかお断りだっつのよぉぉー!」

 

ユウ

(いや、千横場の苗字は彼が悪いわけじゃ・・・)

奈々、優勢すすんでいた戦いであったがクラッターの放ったバラの茎のようなものが

奈々の体に巻き付き、電気の様なものが流され劣勢となる。

 

奈々

「きゃぁああああ」

 

ユウはいつでも助けに入れる態勢でいたが心配は要らなかった。

 

奈々は自分の装備のリング状のものを大きく広げ巻き付いていたものを切り裂く。

 

「この顔だけ男がぁぁぁー!」と叫び

ブーケ型の武器でビームを放ちクラッターを倒し

たそがれの空間は消え去り元のチャペルに戻った。

 

奈々の変身が解けるとアスカが声をかける。

「助かったよ。

まさか、お前がイコライズの地平に達するとはな」

 

奈々

「イコライズ?」

 

アスカ

「自我の未成熟な部分を克服し、完全なるイデアに近づくことで

 人は異物を排除できるイコライザーとなる資格を得ることができる。

 今のお前の様にな。」

 

アスカは奈々の手からアストラルモジュールを受け取り

壁に寄りかかっているクラッターに剣を突きつけると

「黄昏の王について知りたい。やつはどこにいる?」

 

ユウ

(黄昏の王?・・・そう・・まだその程度の情報なのね・・・)

 

クラッター

「我らが王か・・フフッ・・・お前は何も知らないのだな。小さき者よ。」

アスカ

「なに?」

クラッター

「いつか分かるだろう。お前自身が黄昏に飲み込まれるとき・・・」

 

そういうとクラッターは小さな固形物に変化した。

 

ユウ

(まずはうまくいったわね。)

ユウはチャペルを出て自分のフラグメントに戻った。



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